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事例紹介:デジタルサイネージシステム改良開発

作成者: インターステラ株式会社|Jun 17, 2025 8:04:22 AM

技術リソース不足を外部専門技術で解決し、計画通りの製品化を実現

成果の概要・ポイント

  • お客様の開発したハードウェアに最適化された組み込みLinuxシステムを構築
  • 前バージョンを大幅に上回る機能を実現
  • クラウド連携により遠隔管理・監視機能を実装

利用技術

  • OS: Yocto Project
  • プログラミング言語: Python、bash
  • GUI フレームワーク: Qt
  • クラウドプラットフォーム: Google Cloud Platform
  • 通信プロトコル: TCP/IP、シリアル通信

プロジェクトの概要

LEDデジタルサイネージ機器の製造企業様から、新バージョンのソフトウェア開発をご依頼いただきました。ハードウェアは自社開発されていましたが、組み込みLinuxやクラウド連携などの専門技術を要するソフトウェア開発において、リソースと技術力の不足から当社が開発を担当することになりました。

詳細

背景と課題

製造企業様は前バージョンのデジタルサイネージシステムを自社開発・販売されており、市場から高い評価を得ていました。新バージョンでは、より高性能なハードウェアを開発し、以下のような機能強化を計画されていました:

  • リアルタイムでの遠隔監視・制御
  • 多様なセンサーとの連携強化
  • システムの安定性と保守性の向上

しかし、これらの実現には組み込みLinuxの深い知識とクラウド連携の専門技術が必要であり、社内リソースだけでは対応が困難な状況でした。

技術的な実装内容

1. Yocto Linuxによる組み込み環境構築 新ハードウェアの性能を最大限に引き出すため、Yocto Projectを使用してカスタムLinux環境を構築しました。必要最小限のコンポーネントのみを含むことで、起動時間の短縮とメモリ使用量の最適化を実現しました。

2. 通信システムの実装

  • GPS、温度センサー、バッテリー等とのシリアル通信インターフェース
  • 管理サーバーとの安定したTCP/IP通信
  • 複数ボード間での協調動作に備えた内部TCP/IP通信
  • 通信エラー時の自動リトライ機構
  • データの暗号化による安全な通信

3. 制御アプリケーションの開発 PythonとQtフレームワークを使用し、以下の機能を持つアプリケーションを開発:

  • リアルタイムでのサイネージ表示制御
  • センサーデータの収集と処理
  • ログ収集と異常検知機能
  • LEDパネルファームウェア更新機能

4. クラウド連携機能 Google Cloud Platformとの連携により、以下を実現:

  • デバイスの遠隔監視とステータス管理
  • LEDパネルファームウェアのリモートアップデート
  • 収集データの分析とレポーティング
  • 異常発生時のアラート通知

開発における工夫点

  • モジュール設計: 将来の機能拡張を考慮した疎結合なアーキテクチャ
  • エラーハンドリング: 道路工事現場という過酷な環境を考慮した堅牢な設計
  • パフォーマンス最適化: リソースの限られた組み込み環境での効率的な動作

成果

  • 稼働率: 24時間連続稼働で99.9%以上の稼働率を達成
  • 機能拡張: クラウド連携により、従来不可能だった遠隔管理を実現
  • 保守効率: リモートアップデート機能により、現場での更新作業をゼロに

まとめ

本プロジェクトは、ハードウェア開発力を持つ企業様が、ソフトウェア開発における専門技術とリソースの不足を、外部の専門企業との協業により解決した事例です。お客様の強みであるハードウェア開発と、当社の組み込みソフトウェア開発の専門性を組み合わせることで、高品質な製品を市場投入することができました。技術者不足が深刻化する中、このような協業モデルは効果的な解決策の一つとして、多くの製造業様の参考になると考えています。